アスレティックトレーナーなら知っておきたい整形外科疾患(症状) 頚椎編 その1

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変形性頚椎症 Cervical Spondylosis、頚椎脊柱狭窄症 Cervical Spinal Stenosis、頚椎椎間板ヘルニア Cervical Disc Herniationに関しては次回。

頚椎神経根障害 Cervical Radiculopathy

皮膚分節、筋分節、反射をそれぞれ整理すること。

これらの所見に関する研究は意外と少ないそう。

必ずしも頸部痛を伴うとは限らない。

あくまでも頚椎神経根障害 Cervical Radiculopathyは神経根が何らかの原因により何らかのストレスを受けることによって生じる症状を表したにすぎません。原因は変形性頚椎症 Cervical Spondylosis、頚椎脊柱狭窄症 Cervical Spinal Stenosis、頚椎椎間板ヘルニア Cervical Disc Herniationなどが考えられる。

手根管症候群や胸郭出口症候群など、遠位神経障害との鑑別も重要となる。

頚椎神経根障害テスト

テスト:Cervical compression test, Spurling test, Cervical distraction test, Shoulder abduction test, Upper limb tension testが挙げられます

Upper limb tension testは正中神経、橈骨神経、尺骨神経それぞれのテストがあります(このテストの考え方はコンディショニングの一貫として特定の神経へslacking, traction, slidingなどの刺激を加える際に有益ですので覚えておくとよいかもしれません。逆に言うと似たような動作でも使う状況によってその行為はテストにもなるし、症状改善への一手にもなるわけです。要は使い方次第)

最近出たテストとしてはNeck Tornado testやArm squeeze testもあるそうです。Neck tornado testは頚椎可動域をチェックする際に一緒に行ってしまっても良さそうです。

頚椎臨床的不安定性 Clinical cervical spine instability

軟部組織の大きな損傷を必ずしも伴わない機能的な不安定症。

頸部不安定症テスト

Anterior shear or transverse ligament test: firm end feelにて正常。

Tests for Alar ligament: 1. 側屈に伴うC2棘突起の対側への動きが出なければ陽性(とは言われているものの、そもそもどの程度の動きがあれば正常なのか。どの動きを異常とするのか。疑問です。また時間があれば調べてみます。)他には頭部回旋とLateral shear testを用いたテストがある。

Sharp-Purser Test: このテストは環椎横靱帯損傷の疑いに対して行います。大学院の頃にはこのテストを勉強しましたが、今の職場では使うことはありません。というのも私が働いているのは病院であり、医師がいる環境です。この靱帯を損傷したことによる不安定症があると疑った時点で無理にこのテストを使って不安定症を確認しなくてもよいかなと思います。医師は他の疾患の除外や画像などを用いた診断のプロなのでATCとしては無理にテストして症状悪化させるリスクを負うよりも、その他症状所見をしっかりとってその後の判断は委ねるという姿勢で良いかもしれません。

椎間関節機能障害 (Facet joint dysfunction)

むち打ちのようなメカニズムによる過伸展に起因することが多い。

Facet joint の方向や位置関係をもう一度復習したい。

頚椎肉離れ・捻挫

肉離れは僧帽筋上部、胸鎖乳突筋、頭・頸板状筋で起こることが多い。

頚椎捻挫では頚椎カラーを使用することもある。脱臼や骨折をしっかりと除外することが大切。

腕神経叢外傷 (Brachial Plexus Injury)

腕神経叢に対する過度な牽引、または圧迫されることによって起こる。

逆ヘッドタックル

相手の進行方向と逆側に頭をもってくる正タックル(A). 相手の進行方向と同側に頭をもってくる逆ヘッドタックル(B) (1)

逆ヘッドタックルという言葉初めて知りました。逆ヘッドタックルでは脳震盪、頸部損傷、腕神経叢外傷、鼻骨骨折などの発生率が、正タックルに比較しておよそ30倍高かった。

正しいタックルの仕方を行う重要性をコーチや選手等へ啓蒙していくことがアスレティックトレーナーの1つの役割かもしれません。

症例報告では神経剥離や神経断裂を起こしたケースもあるようで、バーナーだからと甘くみてはいけないかもしれません。(2) (3)

Tests / tenderness

Erb’s point

Brachial Plexus Injuries Erb's Paralysis – Everything You Need To Know – Dr. Nabil Ebraheim

鎖骨の2〜3cm上方に位置する。腕神経叢が最も表皮に近くなる部位を触診する。Brachial plexus injuryにおいて圧痛や放散痛が確認される。

Brachial plexus traction test

(1) Sobue S, Kawasaki T, Hasegawa Y, et al. Tackler’s head position relative to the ball carrier is highly correlated with head and neck injuries in rugby. Br J Sports Med. 2018;52(6):353-358. doi:10.1136/bjsports-2017-098135

(2) Altaf F, Mannan K, Bharania P, Sewell MD, Di Mascio L, Sinisi M. Severe brachial plexus injuries in rugby. Injury. 2012;43(3):272-273. doi:10.1016/j.injury.2011.04.001

(3) Daly CA, Payne SH, Seiler JG. Severe Brachial Plexus Injuries in American Football. Orthopedics. 2016;39(6):e1188-e1192. doi:10.3928/01477447-20160721-03

胸郭出口症候群

発生しやすい場所

  1. Interscalene triangle: 斜角筋間
    1. 斜角筋の筋肥大、斜角筋間の繊維膜形成に起因することもあるそうです。
  2. Costoclavicular space: 肋鎖空間
  3. Subcoracoid or retropectoralis minor space: 烏口下・小胸筋後部空間

8%ほどの確率で発生する第一肋骨と肩甲骨上縁をつなぐSubclavius posticusという筋肉があるせいでTOS症状を呈する場合もあるそう(4) Pubmedで調べてみてもまだまだ研究数は少ない様子。

重たいリュックを長時間背負って任務を遂行することが多い自衛隊の方はTOS症状を呈することがあります。

(4) Ciampi P, Agnoletto M, Scotti C, et al. Thoracic Outlet Syndrome in the Overhead Athlete: A Report of 2 Cases of Subclavius Posticus Muscle. Clin J Sport Med. 2017;27(3):e29-e31. doi:10.1097/JSM.0000000000000329


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林 俊之介 ATC/CSCS/PHI Pilates Japan Instructor

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