投球障害を考える上で必要なコンディショニングの考え方の例 その2

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投球フォームへの介入

アスレチックトレーナーとして投球動作の勉強は欠かせないが、どこまで介入するかという点は非常に線引きが難しい。理想なフォームは1つではない。選手によって骨の長さや形態が異なり、各筋のボリュームや発火タイミングが異なることで理想のフォームは1人1人異なってくると思われる。

しかしながら、障害予防という観点からは外せないポイントもいくつかあるのは確かである。

良好な投球とは体幹の並進・回旋エネルギーによりスローイングアームがしなった後にリーディング肩または軸足股関節を視点に振られる動作であるとされている(1)このような動作は障害予防の観点からも重要となりますし、高いパフォーマンスを発揮するという点においても重要であると僕は考えています。

投球フォーム不良の原因

投球フォームに問題がある場合は以下の3つのパターンがあると言われている(2)

  1. 身体の使い方・フォームに問題がある
  2. 疼痛回避のために本来と違ったフォームで投げている
  3. 疲労を含むコンディショニング不足でフォームが乱れている

3のコンディショニング不良の場合においてはフォーム改善よりもコンディショニング改善を先に行うと良い。

投球に必要なコンディショニングとは?

投球は片脚荷重のフェーズがとても多い。よって以下のテストは良好な投球フォームに必要な最低条件と言える

Single leg standingで確認できること

方法:片脚で立つ

  • 体幹や骨盤が後傾する場合は
    • 立脚側のハムストリングタイトネス
    • 腹筋群の活性不全
    • 遊脚側の臀筋群タイトネス
    • 遊脚側の股関節屈曲機能不全
  • 体幹の遊脚側への側屈・肩の下降
    • 遊脚側の広背筋タイトネス
    • 立脚側の大臀筋・中臀筋活性不全

などが疑われる。このテストで以上の代償動作がみられた場合はワインドアップ期にも同様の問題が出現する。この状態ではワインドアップからフットプラントへかけて並進運動する際に地面からの反力を得にくくなる。パフォーマンスが上がるとは考えにくく、この状態で無理矢理速いボールを投げることを続けると肩や肘に負担がかかり障害へつながっても不思議ではない。

Single leg squat & front lunge で確認できること

方法:片脚でスクワットする。そしてフロントランジを行う。

  • 立脚側の膝がknee inする
    • 前脚の股関節外転筋の機能不全

が疑われる。この動作で代償動作が出るとフットプラント時に下肢が不安定となる。それを骨性に代償しようとすると極度の下腿内旋での着地がおこり、つま先がキャッチャー方向へまっすぐ向かないフォームとなる。

また、臀筋群の不活性により股関節の不良なポジションでの過度な内旋がおこりFAIなどの原因にもつながる動作不良となることも多い。

その他よくあるコンディショニング不足

  • 体幹筋群の機能不全
  • ローテーターカフ機能不全
  • 前鋸筋機能不全による上方回旋不足
  • 僧帽筋機能不全
  • 胸筋群タイトネス
  • 前部胸郭拡張不良
  • 胸椎伸展不良

それぞれの機能不全を評価し、介入し、再評価して機能不全の改善を確認した後に投球フォームを介入前と後で比較することでコンディショニング改善と投球フォーム改善を因果づけて考えることができる。

前脚の股関節内旋不足

前脚の股関節内旋が不足すると大腿骨に対して骨盤が内旋方向へ回旋しないので、それに伴い体幹の回旋不良もおこる。股関節外旋筋群のタイトネスが多く見受けられ、外旋筋群ストレッチを行うと他動股関節内旋可動域が改善する。この状態で再度投球を行うと大腿骨に対して骨盤が内旋方向へ回旋しやすくなり、それに伴い体幹の回旋不良も改善され、前脚へ体重が乗りやすくなる。

参考文献

(1) 渡會 公治,小黒 賢二,竹田 秀明,奥野 達朗,中田 豊,稲波 和彦	投げ方の指導による成長期の野球肩・野球肘の治療	臨床スポーツ医学 = The journal of clinical sports medicine	02893339		1995-09-01	12	9	981-989	https://ci.nii.ac.jp/naid/10012235020/	
(2) 岩堀裕介 投球障害肩に対する保存療法-選手の啓蒙, 肩後方構成体ストレッチング, 投球フォーム矯正を中心に- 骨 関節 靱帯 2002 15 12 1219-1230


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