胸郭出口症候群 (TOS: Thoracic outlet syndrome)とは?

なぜ新米ATCが発信するか?

理由は2つ。

1つ目:僕のようにAT programを出たばかりのATCが日本のスポーツ整形外科で働くケースはこれから増えてくるはず。同学年10人しかいないAT programでしたがずっとテストや成績はトップでした。でも、日本のスポーツ整形外科で働き始めると自分の知識や経験のなさを痛感する日々。僕と同じような境遇にある人がその知識ギャップを埋めるために必要な情報を発信できればと思います。

2つ目:自分の知識武装のため。1つずつ気になる疾患を自分なりにまとめておもしろい知見があれば適宜加えてアップデートします。僕は病院で働くので常に医者がいる状況で、僕の知識の浅さは必ず誰かによってカバーされる状況にあります。しかし、現場にでたときの判断力を養う意味でも医者と同じぐらいに知識武装する意気込みで学んでいくことは大切。今の医者が常にいる環境に甘えずに知るべきところはどんどん知って知識武装していかねば。との思いで書いていきます。

胸郭出口症候群 (TOS)に関する管理人の小話

もう個人を特定できないレベルだから行っても良いと思いますが、アメリカの実習中での話。 胸郭出口症候群(TOS)の症状が出ていてTOSだろうと思ってケアをしていました。しかし、定期的なDr visitで経験を積んだ医者が下した判断は 何か怪しい血管内科に一応みてもらおう ってことでした。

で、精査の結果、上肢血管に(詳しい場所は覚えてません)血栓ができてそれが血管をつまらせておりTOSのような症状が出ていたそう。もしその血栓が脳や肺に飛んだら一大事。本当に命に関わります。 教科書を読んだだけで知った気になってはいけないと恐怖を感じた実習経験でした。 その医者や実習先のATCは若いうちにそういう経験をしていくと視野が広がるから良いよと言ってくれました。 先入観を持たず、疑うべきものは疑う姿勢これは本当に大切。

後日その医者になんでそんなことあの所見から疑えたの!?と聞くと、「経験じゃよ」的な返しをされた。多分同じ症例に出会うことはこの仕事を続けていって もう1回あるかないか。でも、次来たときはATとして見逃さないように。わずかでも疑えば適切な専門家にreferできるように。視野広く学んでいかねば。。。!

胸郭出口症候群(TOS)の概要

腕神経叢(Brachial plexus)または鎖骨下動静脈(Subclavian art. and vein) が圧迫(Compression)もしくは牽引(Traction)を受けて、頸部から上肢の疼痛・しびれなどの症状を生じる症候群

1956年にPeetらが命名した。神経性・静脈性・動脈性がある。神経性が95%を占める。

Thoracic Outlet Syndrome – Everything You Need To Know – Dr. Nabil Ebraheim

神経性TOS 症状

  • 上肢の痺れ
  • 疼痛
  • 脱力
  • 麻痺

動脈性TOS 症状

  • 蒼白
  • 脱力
  • 疼痛

静脈性TOS 症状

  • うっ血症状→チアノーゼ
  • 緊満
  • 静脈性怒張
Neurogenic Thoracic Outlet Syndrome Diagnosis | nTOS

胸郭出口症候群(TOS)の発生原因

主に下記3部位のいずれかで腕神経叢に対する圧迫・牽引のメカニカルストレスによるものとされている

  • 斜角筋三角部(Scalene triangle): 前斜角筋・中斜角筋・第一肋骨の間
  • 肋鎖間隙
  • 小胸筋直下

胸郭出口症候群(TOS)のスポーツによる要因

斜角筋の過緊張や小胸筋の過緊張が原因で症状を呈するある種ベーシックなパターンもあるがそれ以外の要因もあると思う

広背筋・上腕三頭筋・小胸筋の過緊張により肩甲骨が下方へ偏位すると腕神経叢に牽引ストレスがかかることにより症状を呈する場合がある。

胸郭出口症候群(TOS)の症状とテスト

第一肋骨側に近いC8・T1神経の症状を呈することが多い。尺骨神経の支配領域である上腕内側〜前腕内側〜第4指・第5指にしびれが出ることが多い。

しかし、正中神経領域に症状がでることもある。その場合は手根管症候群(CTS: Carpal tunnel syndrome)との鑑別が重要となる。CTSの疑いを強め、TOSを除外したい場面ではPhalen’s test (+) でCTSを鑑別診断に入れつつ、TOSではない可能性が高いという情報を付け加えるためRoo’s test (-), Adson’s test (-), Allen’s test (-)と書いておくとストーリ性のある所見をとることができる。

Roos / Elevated Arm Stress Test | Thoracic Outlet Syndrome (TOS)
Adson Test | Thoracic Outlet Syndrome

胸郭出口症候群(TOS)に対するストレッチなど

下記筋群に対するアプローチを行い、不良姿勢の改善や過緊張筋の抑制、抑制された筋の活性化が重要であると考える。実際には個別の評価が必要であるが、大まかな枠組みとしては以下のように考える。

  • 過緊張の抑制を目指す筋群の例
    • 斜角筋
    • 鎖骨下筋
    • 小胸筋
    • 肩甲挙筋←肩甲骨前傾の原因になるので小胸筋と合わせてアプローチを行うと良いと思われる
    • 広背筋
    • 上腕三頭筋
  • 抑制された筋の活性化
    • 前鋸筋
    • 僧帽筋中部・下部
Does Your Patient Really Have Thoracic Outlet Syndrome (TOS)?

こんなhigh qualityな動画も無料で見れる時代に。。。。

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