グリコーゲン【代謝・合成・グルコース取り込み】~運動生理学 Exercise Physiology~

最近は運動生理学の復習を始めています。
フィットネスジムがある病院で働くと必要な知識が本当に幅広く、学ぶことも多いので楽しいです。
僕の中でのホットトピックは乳酸。
乳酸の代謝を理解できれば高い運動強度でのエネルギー代謝も理解が進むかな?と思ったので乳酸を中心に色々復習していこうと思います。

ということで今回は乳酸の代謝を考える上で切っても切り離せない糖の代謝。中でもグリコーゲンについてポイントをザッとおさらいしようと思います。
細かい酵素の名前を書き出すとキリがないです。そして、僕も全ての酵素の名前や役割を把握しているわけではありません。
大まかな流れのみ復習したい人向けです。

体内の糖はグリコーゲンとグルコース

グルコース:血液の糖。比較的エネルギーとして使いやすい状態

グリコーゲン:貯蔵の糖。グルコースが多数集まっている。肝臓や筋肉にある。

グリコーゲンの貯蔵場所と量

筋肉:1500kcal程度

肝臓:500kcal程度

一般的には上記のエネルギー相当量が保存されている。肝グリコーゲンにおいては食事間で残量が減っていき、空腹感を調整するホルモンなどと関係している。肝グリコーゲン残量がどれくらいの時にどのような食事をとるかによって減量の効果が変わったり、空腹感が変わったりするようです。そのあたりの生理学もいつかまとめてみます。

グリコーゲンの分解

グリコーゲンが分解される時に重要となる酵素はグリコーゲンホスホリラーゼです

グリコーゲンがグルコース1リン酸となります。この次にリン酸の位置が変わり、グルコース6リン酸となりグルコースへと進んでいく。

グリコーゲンホスホリラーゼは通常は不活性だが、運動によってADPやリン酸濃度が上昇すると活性され、すぐにグリコーゲン分解が行われる

Spriet LL, Söderlund K, Bergström M, Hultman E. Skeletal muscle
glycogenolysis, glycolysis, and pH during electrical stimulation in men. J Appl
Physiol (1985). 1987 Feb;62(2):616-21. PubMed PMID: 3558221.

筋グリコーゲンの合成

血中から取り込まれたグルコースはリン酸が取れてグルコースとなり貯蔵される。
ここではグリコーゲンシンターゼという酵素が関わってくる。

筋グリコーゲンの貯蔵量はおよそ1500kcalであり、高強度の運動によって割とすぐに枯渇してしまう。
練習や試合のあとは食事によって十分に糖を摂取し、筋グリコーゲンを回復させる必要があるが、1500kcal取れば良いのかと言われればそうではない。
安静にしているだけでも700kcalを脳が消費するし、成長期においては組織の成長に必要な糖からのエネルギーも考慮しなければならない

もちろん筋グリコーゲンが全て枯渇するような状態はおこらないのだが、食事で糖の摂取量を考える上では必要十分量を確保するという意味で2200kcalほどは糖で摂取したい。

ちなみに550gの糖質は食事で取るのは結構大変。

グリコーゲンローディング

フルマラソンにおいて速度が低下する要因は筋グリコーゲン量の低下が大きいとされている
体内の糖貯蔵量はフルマラソンで必要なエネルギー量を超えており、脂肪からの代謝が必要となる
しかし、脂肪の代謝においても糖は必要であるため筋グリコーゲンの低下は筋収縮を低下させ、マラソンにおいては速度低下につながってしまう。

ここで、筋グリコーゲンの貯蔵量を増やせば良いという考えにいたるわけだが、貯蔵量を増やそうとする一連の戦略がグリコーゲンローディングである

3日間低糖質→3日間高糖質 など食事のみによって調整するパターンや 食事だけでなく運動量の調整も行うパターンもある。

新しい文献もたくさん出ているはずなのでこのあたりはもう一度チェックしなければ。

グルコースの取り込み

血中のグルコースは細胞内に取り込まれる必要がある。その際に重要となる輸送隊がGLUT4である

GLUT4はグルコース輸送担体である。運動や食習慣、そのた体内状況によってGLUT4のふるまいが変わるので運動と血糖値の関係性を調べる際はよく注目される輸送担体である

糖が必要な場合にのみGLUT4が細胞膜表面に現れてグルコースを取り込むわけだが、このGLUT4の移動をトランスロケーションという。

ちなみに糖尿病患者ではこのトランスロケーションが起こりづらくなっており、血糖の取り込みがうまくできない状態である。


次回はGLUT4について少し掘り下げてみようと思う。

参考図書


炭水化物のすべて: 山本義徳 業績集1

次回はグリコーゲンの代謝からもう少し続けていこうと思います。


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林 俊之介 ATC/CSCS/PHI Pilates Japan Instructor

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