GLUT4グルコース輸送担体と非インスリン依存経路(AMPKとCam K)の話 ~運動生理学 Exercise Physiology~

最近は運動生理学の復習を始めています。
フィットネスジムがある病院で働くと必要な知識が本当に幅広く、学ぶことも多いので楽しいです。
僕の中でのホットトピックは乳酸。
乳酸の代謝を理解できれば高い運動強度でのエネルギー代謝も理解が進むかな?と思ったので乳酸を中心に色々復習していこうと思います。

ということで今回は乳酸の代謝を考える上で切っても切り離せない糖の代謝。糖代謝を考える上で切り離せないのがGLUT4のふるまいについて。
細かい酵素の名前を書き出すとキリがないです。そして、僕は全ての酵素の名前や役割を把握しているわけではありません。
大まかな流れのみ復習したい人向けです。

体内の糖はグリコーゲンとグルコース

グルコース:血液の糖。比較的エネルギーとして使いやすい状態

グリコーゲン:貯蔵の糖。グルコースが多数集まっている。肝臓や筋肉にある。

血糖の取り込みに重要なGLUT4

糖を含む食事をすると血糖値が上昇する。すると、膵臓からインスリンが分泌される。

インスリンが筋肉まで到達するとIRS (Insulin receptor substrate: インスリンレセプター)と結合します。
その後、Akt (Protein kinase B)の活性化などが起こるとされているが、いまだに不明な点も多い。

このあたりの話は山本先生の著書でも述べられているので参考にして欲しい。


炭水化物のすべて: 山本義徳 業績集1

糖尿病ではインスリンが出ていても血糖が取り込まれずに高血糖となるが、それはインスリンに対して筋肉が反応せず血糖が取り込まれないことが問題である。具体的にはIRSの感受性が低くなりGLUT4のトランスロケーションが起こらないという状態である。

運動による血糖取り込みはインスリンに依存しない経路もある

AMP Kinase経路

近年では研究(1) により運動時の血糖の取り込みはインスリンに依存しないことがわかってきた。これはAMPK ( AMP kinase)という酵素が関係しているとされている。

AMPKはAMPによって活性化される。運動時にはATPがADPになる反応が亢進する。ADPが大量にできるわけだが、ADP+ADPでATPが1つでき、AMPも1つできる反応がある。つまり、AMPが発生する時は運動している時である。そしてAMPはAMPKを活性化する。活性化されたAMPKはGLUT4のトランスロケーションを起こし、インスリンに依存せずに血糖取り込みに寄与するという流れである。

Cam K (カルモデュリンキナーゼ)経路

Cam K経路もインスリンに依存しないGLUT4のトランスロケーションを誘導する経路として近年注目されている(2) ⇦Free article ですよ!

筋グリコーゲンと肝グリコーゲン

肝グリコーゲンは糖を主なエネルギー源とする脳への糖供給に重要であるが、運動後においては筋グリコーゲンの回復が肝グリコーゲンの回復よりも優先されるようである。

練習や試合など高強度の運動を行ったとに糖質補給を行うと筋グリコーゲン回復に使われるということである。

筋グリコーゲンが低下してくると筋小胞体(sarcoplasmic reticulum; SR)でのカルシウムイオンの放出・取り込み速度が低下する(3)

これにより筋収縮に悪影響がでるとされている。

肝臓での糖新生 (Gluconeogenesis)

強度の低い持久的運動では運動すれば肝臓での糖新生がより活性化するとされている。

肝臓での糖新生においてはPEPCK(本名がかなり長いので省略)が鍵となる酵素とされている。

コーリ回路 (Cori cycle)

Metabolism | Gluconeogenesis

僕は今まで一旦血中に出た乳酸は全てCori cycleによってグルコースに変えられていると思っていましたが、どうやら違うようです。

運動直後や運動時は乳酸が産生される量はかなり多くなりますし、乳酸を酸化してエネルギーを獲得するという流れが主流のようです。

Cori cycleのスピード感や乳酸の酸化が詳しく分からないのでこのあたりはしっかり調べていきます。

参考文献

  1. Exercise regulation of glucose transport in skeletal muscle. Hayashi T, Wojtaszewski JF, Goodyear LJ. Am J Physiol. 1997 Dec;273(6):E1039-51. doi: 10.1152/ajpendo.1997.273.6.E1039. Review.
  2. Exercise and CaMK activation both increase the binding of MEF2A to the Glut4 promoter in skeletal muscle in vivo. Smith JA, Collins M, Grobler LA, Magee CJ, Ojuka EO.Am J Physiol Endocrinol Metab. 2007 Feb;292(2):E413-20. Epub 2006 Sep 19.PMID: 16985263 Free Article
  3. Role of glycogen availability in sarcoplasmic reticulum Ca2+ kinetics in human skeletal muscle. Ørtenblad N, Nielsen J, Saltin B, Holmberg HC. J Physiol. 2011 Feb 1;589(Pt 3):711-25. doi: 10.1113/jphysiol.2010.195982. Epub 2010 Dec 6.PMID: 21135051 Free PMC Article

参考図書


炭水化物のすべて: 山本義徳 業績集1

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林 俊之介 ATC/CSCS/PHI Pilates Japan Instructor

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